アイシン産業株式会社

社員インタビュー 仕事・技術紹介

DX推進部の挑戦|製造業×ITの新たなサービス「TeRA SERVANT」とは


皆さんこんにちは。「『粉』を操る技術でお役に立ちたい」という気持ちから1972年に創業し、粉に関わるすべてのお客様のために、最適な粉粒体ハンドリング機器・装置・設備を提供しているアイシン産業株式会社の広報担当です。


現在、アイシン産業では一緒に働く仲間を募集しています!


今回は、2021年の入社と同時に「DX推進部」を立ち上げ、製造業の常識を塗り替える新たなITサービス「TeRA SERVANT(テラサーバント)」を世に送り出した高橋部長にインタビューしました。「地方の中小企業でITスキルをどう活かすのか」「製造業のDXとは何を変えることなのか」。その核心に迫ります。

「10年後の自分」を逆算し、伸び代だらけの「未開の地」へ


まずは、高橋さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

前職では機械メーカーに15年ほど勤務していました。キャリアのスタートは営業で、その後、生産管理、経営企画と歩んできました。経営企画時代には、SalesforceやPardotといったツールの導入やデジタルマーケティングの立ち上げなどを経験し、自分たちの手でプロジェクトを動かす面白さを知りました。


順調なキャリアを歩まれていた中で、なぜアイシン産業への転職を決意されたのですか?


決め手になったのは「10年後の自分」を想像したことです。前職では制作部門とマーケティング部門が分断されていて、全体を一貫して手がけることが難しかったんです。また、年齢的な役職定年の足音も見え隠れする中で、自分のスキルを最大限に発揮し、ダイレクトに会社の成長に貢献できる環境を求めていました。

当時のアイシン産業のホームページは解析やマーケティングツールなどは利用しておらず、分析・施策をゼロから始め、制作も含めすべてのプロセスを一貫して携わることができる楽しみと年齢を気にせずスキルを活かせる環境がありました。

社長室で手渡された「A3用紙1枚」から始まったプロジェクト


─ 現在のメインプロジェクトである「TeRA SERVANT」は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

入社して3年半ほど経った頃、突然「相談がある」と社長室に呼ばれ、A3用紙1枚に書かれた構想図を提示されました。そこに書かれていたのは、「TeRA SERVANT」を含む、将来的な「TeRAシリーズ」の全体像です。

「保全管理アプリを作ってほしい」。その一言から、私たちの本格的な挑戦が始まりました。ちなみに「TeRA(テラ)」とは「Technology Resources of AISHIN」の略で、様々な分野から転職してきたアイシン産業の社員が持つ技術的資産を最大限に活用し、新しい価値を創造するという意味が込められています。


─ 具体的に、このサービスで解決したかった「現場の課題」とは何ですか?


生産機械が稼働する工場の現場では、機械のメンテナンスが必要になった際、「図面はどこだ?」「前回の交換はいつだった?」と情報を探すだけで多大な時間がかかります。多くの場合、そういった情報は紙のファイル、社内サーバーやExcelの管理表、あるいは熟練社員の頭の中にしかありません。

「TeRA SERVANT」は、機械に貼られた二次元コードをスマホやタブレットで読み込むだけで、その場で図面や点検履歴へ簡単にアクセスでき、当社への問合せまでワンストップで完結します。情報の「属人化」を防ぎ、誰でも最適な保全管理ができる環境を目指しました。

年間2,000台の出荷実績が「業界のプラットフォーム」を創る

─ 製造業が自社でITサービスを開発する例は珍しいですよね。競合に対する強みはどこにあるとお考えですか?


私たちは単なるソフトウェア会社ではなく、機械そのものを作っているメーカーだということです。アイシン産業は年間2,000台の機械を出荷しており、3年経てばTeRA SERVANT付の機械が市場に6000台あることになります。機械を出荷すると同時にこのサービスも市場に送り出していますので、将来、多くの工場でこのサービスが利用できる環境が整うことになります。

さらに、出荷するすべての機械に、あらかじめ基本情報や図面を紐付けた二次元コードを貼付して送り出す。この「最初からデータが入っている」という圧倒的な利便性が最大の強みです。一般的にITツールの導入を阻むのは「初期入力の手間」ですが、私たちはそれを製造工程で解消しています。


─ 導入コスト0円という設計も、かなり大胆に感じます。


まずは「アイシン産業の二次元コードがあれば便利だ」という体験を市場に広めることが最優先です。利便性が認められれば、「他社の機械も一括管理したい」「古い機械にも貼りたい」というニーズが生まれます。他のメーカー様にもこのプラットフォームを開放していますので、将来的には粉粒体業界のDXに貢献できるサービスに育てていきたいと考えています。

開発の裏側と、DX推進部の「意外な」働き方


─ 開発過程では、どのような苦労がありましたか?


私と代表の二人三脚のチームでしたので、要件定義から仕様の詰めまで、ほぼすべてを一人で把握しなければならなかった点です。現場を知る社長の知見と、ITを形にする私の視点を擦り合わせながら、妥協せずに作り上げました。また、システム制作会社のBOATRIPさんや動画制作会社のECLAT CREATIONSさんといった社外パートナーとも密に連携し、当社のキャラクター「ぷーどろん」を誕生させるなど、プロモーション面にもこだわりました。


─ それほど多忙なプロジェクトを抱えながら、高橋さんは「定時帰宅」を徹底されていると伺いました。


はい、基本的には定時で帰ります。仕事は無限にありますが、「今日絶対にやらなければならないこと」と「明日でもいいこと」を明確に切り分けています。自分自身でプロジェクトをコントロールし、リスクヘッジをしながら進めているからこそ、無理な長時間労働は必要ないと考えています。


─ 現在の部署のメンバー構成や、雰囲気はいかがですか?


現在は私のほかにもうひとりメンバーがいて、メールマーケティングや市場分析、法務関連の契約書チェックや情報セキュリティ対策など、非常に幅広い分野で活躍してくれています。少数精鋭だからこそ、一人ひとりの裁量が大きく、自分の仕事が会社の成長に直結していることを実感できる環境です。

AI活用から「組織変革」へ。5年後、10年後の展望

─ 今後の展開についても教えてください。


次のフェーズとして、工程管理アプリ「TeRA PRODUCTION」の開発がスタートしています。コンセプトは「身の丈DX」。多機能すぎて使いこなせない高価なシステムではなく、中小企業の現場にちょうどいい、AIを活用したシンプルなツールを目指しています。さらに、センサーとAIで故障を予測する「TeRA INTELLIGENCE」の基礎研究も進んでおり、大学との共同研究も行っています。

─ Google Workspaceの導入や、生成AIの活用にも積極的ですよね。


はい。AIエージェントを導入し、日常業務の中でAIとキャッチボールをすることが当たり前の文化にしたいと考えています。例えば、Gmail上でメールの文面をAIが提案してくれるような、小さな「便利」の積み重ねが、社員の意識を変えていくはずです。

─ 「DX」の先に、どんな狙いがあるのでしょうか。


DXの「X」はTransformation、つまり「変革」です。アイシン産業は6年後に売上高倍増という目標を掲げていますが、現在の「町工場」的な属人化した仕事の進め方のままでは限界があります。ITツールをきっかけに、組織として仕組みで仕事をする文化を創り上げること。私たちが担っているのは、単なるアプリ開発ではなく、アイシン産業という組織そのものをアップデートする挑戦です。

「あなたの飽きっぽさが長所になる」―求職者へのメッセージ

─ 最後に、この記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします。

製造業のDXと聞くと、高い壁を感じるかもしれません。しかし、実際にはゴリゴリのIT企業のエンジニアほどのスキルは必要ありません。大切なのは、新しいことに刺激を求め、自分から「こうしたい」と提案できる好奇心です。

DX推進部は、期初に立てた計画が期末には半分変わっているような、変化の激しい部署です。だからこそ、「同じことの繰り返しには飽きてしまう」という方の資質が活きてきます。ゼロからサービスを創り上げ、伝統ある製造業をアップデートしていく達成感を、ぜひ私たちと一緒に味わいましょう。ご応募をお待ちしています!


─ 本日は貴重なお話をありがとうございました!